こんにちは!Mr.パパンです。
私はパイプハウスの設計を年間に数十件しています。その知識を元に農家さんや家庭菜園好きの方に農業資材の役立つ情報を発信しています。
はじめに
この記事はハウス用被覆資材の選定で悩んでいる方やこれからハウスで家庭菜園などを始めたいに向けに書いています。
読み終わる頃にはフィルムの選定に迷う事はないはずです(^^)
ハウス用被覆資材とは
被覆資材
そもそもハウス用の被覆資材ってどんな物…?
パイプハウスの外側を覆うフィルムの事を言います。
その被覆資材はひと昔前まではビニールが主流で、ビニールハウスという呼び方が一般的でした。
そのなごりもあり、被覆資材といえばビニールと考える人も多いかと思います。
だだし、近年ではフィルムに機能性を持たせたPOフィルムが一般的になってきています。
機能として多いのは流滴性でハウス内側に露などの水滴を流れやすくし、ボタ落ちを軽減する機能が多いです。
・ひと昔前はビニールが主流
・現在は機能性を持ったPOフィルムが多い
ビニールとPOフィルムの違い
農ビと農POの性能には違いがありますが、見た目にはほとんど差がありません。
ではどんな所が違うのか解説します!
農ビ(ビニール)とは
農業用ビニールの素材は、塩化ビニル樹脂(PVC)が主流です。PVCは耐久性や防水性に優れており、農業用途に適しています。
農ビはひと昔前が主流でしたが、現在でも選ばれる事はあります。
保温性が高い
農ビはPOフィルムに比べ保温性が高いという特徴があります。
主に春先に温度を維持したい方が積極的に使用されます。
伸縮性があり擦れに強い
農ビの特徴として伸縮性があり摩擦に強い点があげられます。
なので、フィルムを春先展張し、秋には剝がしてしまうという方にオススメです。
透明性が高い
最後の特徴として透明性が高い点が挙げられます。
ただし、常に透明性があるわけではなく、展張して1年ほどで徐々に白く濁ってきます。
デメリット
比重が重く価格が高い。また出荷時にフィルムが張り付かないよう工業用コーンスターチという粉が付いている為、展張する際の作業性は悪いです。
農ビのメリット・デメリット
- メリット:保温性が高い・透明性が高い・伸縮性があり擦れに強い
- デメリット:比重が重い・高価・出荷時粉が付いている
POフィルムとは
ポリオレフィン系樹脂を原料に各種添加剤を配合して作られたフィルムです。農ビとの違いはフィルムに機能を持たせる事が出来るという点です!
価格が安い
POフィルムは農ビと比較すると価格が安いです。大体10%~20%程安いです。
比重が軽い
農ビと農POの比重は、農ビの方が1.3~1.4倍ほど重いので作業性はかなりきます。
この重さの違いは原料の密度が異なるので生まれています。
対応年数が長い
農ビは紫外線によって劣化しやすく、一般的に3~4年が耐用年数とされています。一方、農POは紫外線耐性が高いため、5~6年が耐用年数とされています。長い物で8年とかなり長期展張ができる物もあるので機能や価格に合ったものを選びましょう!
デメリット
農ビに比べて伸縮性が低い。そのため農ビよりも破れや切れに弱い傾向にあります。
POフィルムは、硫黄系農薬に弱いというデメリットがあります。硫黄系農薬を使用すると、POフィルムの劣化が進み、破れやすくなったり、透明度が低下したりする可能性があります。
農POのメリット・デメリット
- メリット:低価格・対応年数が長い・作業性が良い
- デメリット:伸縮性が低い・硫黄系農薬に弱い
これからハウスを建てるならオススメは【POフィルム】
これからハウスの被覆資材を買われる方にオススメしたいのは『POフィルム』です!
上記記事内でも説明したのですが、低価格・対応年数の長さ・作業性の良さなどオススメできる点は数多くあります。
もう少しPOフィルムについて説明していきましょう。
POフィルムの種類
ではPOフィルムにはどんな物があるのか、一部ですが紹介します。
POフィルムの規格
POフィルムの厚み
POフィルムの厚みは何種類かあります。
0.05㎜・0.075㎜・0.1㎜・0.13㎜・0.15㎜の中から選ぶのが良いと思います。
ただし、ハウスの外側だけでなく内張りとして使われる物もあるので代表的な例をご紹介します。
- 内張り:0.05㎜・0.075㎜・0.1㎜
- 外張り:0.1㎜・0.13㎜・0.15㎜
あくまで推奨なので参考程度にしてください!
Pフィルムの幅
POフィルムの幅は狭い物で裾固定張り用の75㎝~幅広い物で10mを越える物まであります。
農ビは最大4m程のフィルムを熱で圧着し中接して幅広い物を作りますが、POフィルムは中接なしで10m程まで製造可能なので繋ぎ目からボタ落ちする心配はありません。
POフィルム機能①『流滴剤』
多くのPOフィルムについている機能です。ハウスの内側に水滴が落ちないようにフィルムをつたって落ちる機能です!
練り込みタイプか塗布タイプの2種類あります。
練り込みタイプの方が短期展張向けで、塗布タイプは長期展張向けです。
POフィルム機能②『UVカット』(紫外線カット)
波長380nm以下の紫外線領域をカットします。
害虫や病気の抑制でき、作物の育成を促進します。
ただし、なす栽培、ミツバチ交配、アントシアニン系色素で発色するものには使用できません。
POフィルム機能③『赤外線カット』
赤外線を一定量抑える効果によりハウス内温度を管理することができます。
「遮熱」と「採光」をフィルム一枚で両立できます。
人気機能『散乱光』(梨地)
『曇りガラスのようなフィルム』で散乱光を取り入れる事により作物の葉焼けなどを抑え、果実、果菜類の均一な色づきに貢献します。温暖化、猛暑の時代に注目されるフィルムです。
まとめ
POフィルムは、農ビの弱点を補った被覆資材として、近年注目を集めています。軽量で柔らかいため、作業性が向上し、張り替えも容易です。また、耐候性や保温性、防霧性も高く、農業生産の安定化に貢献しています。
POフィルムは、農業の生産性や収量を向上させるために欠かせない被覆資材です。適切な用途や目的に合わせて、POフィルムを活用しましょう。
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